読書ログ:地方創生大全

本屋に立ち寄って気になった地方創生大全

なぜ地方創生はうまくいかないのか?

地方創生がうまくできない理由について筆者は次の5つを挙げている。

①取り組むネタの選び方が間違っている

カレー、ジャムなど、参入障壁がものすごく低いものを「ブランド化」して高額で売ろうとする。本当に舌の肥えた人は同じ金額感でもっと良いものを知っているし、それ以外の人は金額を見てまず買わない。つまり、知名度がなく高級な「ブランド品」は誰にとってもコスパが合わない。また、差別化が難しいゆるキャラの制作に多額の予算をかけてしまうというのもありがちなパターン。ブランド化は大企業が多額の予算をかけても一朝一夕に作れないものなのに、名もない田舎のちょっとした特産品をありきたりな方法で「ブランド化」するのは無理。ブランド化するから売れるのではなく、売れるからブランド化される。真似できない商品設計や流通方法などを考える必要がある。

②モノの作り方が間違っている

人口現状、学力低下、雇用の創出などの複合的な問題を一気に解決することを目的に、巨大な施設を作ってしまう。さらに、補助金を与えてテナント料を取らないようにすると、テナントの稼ぐ意識が低下し、赤字を垂れ流す事業が作られてしまう。事業の黒字化を計画することがまず第一で、その結果として雇用の創出などか付いてくるべき。

新幹線を作ることの経済効果も、注意が必要。いくら駅前が活性化されても、大都市資本の駅ビルが並んでしまえば結局地場の企業にはカネは落ちない。

③ヒトの捉え方が間違っている

そもそも人口というのは、多くても少なくても問題になる。戦前は人口の増加が問題視され、増える人口を食わせるために海外への移住を奨励さえした。戦争が始まると一転して「産めよ増やせよ」が国の目標になる。さらに戦後はまた人口増加が懸念されて、バースコントロールが重要視される。そして人口が現状に転じた今、人口減少は大問題だ!と叫ばれている。

重要なのは過去の人口問題は人口政策によって解決されたわけではないこと。過去に人口増加が問題視されたとき、それを乗り越えてきたのは経済の発展。それを考えると「田舎に若者や高齢者を引っ越させるために補助金をやる」という政策はワークしない。なぜ田舎から人がいなくなったのか?という根本原因(≒魅力的な仕事がない)を解決しないと人は動かない。

④カネの流れの見方が間違っている

 事業評価は、自治体と民間の連結決算で見る必要がある。多額の補助金を収益源にしているから黒字なのではなく、補助金なしでも自立できるようか事業にしていくことが大事。

自治体の予算は、枠を年度末までに使い切るのが前提であり、長期的な収益性を考慮しにくい。だからこそ民間主導でプランを立て、補助金ではなく融資が通るようにする必要がある。融資を通すためには黒字化の蓋然性が高くなければいけないので、補助金頼みより真剣に自立を考えることになる。

⑤組織の活かし方が間違っている

予算を貰うためには失敗しないことが大事、というマインドセットでは、失敗を恐れて新しい取り組みが何もできなくなってしまう。また、いくら優秀な人を集めてビジネスコンテストをやっても、手を動かさない外野がうるさくて何も進まなければ、地方創生は実現できない。地域では特に血縁や地縁が濃く、これによる情緒的な意思決定がまかり通っている。事業計画をしっかりと立てているのであれば、外野はスルーし、事業が傾いてきたら計画を巻き直すことが大事。

 

地方創生の話だが、一般企業にも当てはまるところが多い内容だった。